『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Case2「泥棒かささぎ」あらすじと感想 ネタバレ注意!

※ネタバレしています。

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』
Case2「泥棒かささぎ」のあらすじ

秘書学校の学生だったマーガレット・ベルが 心臓発作で死亡する。元々心臓病だったマーガレットはドラッグのアンフェタミンが原因で死んでいた。 アンフェタミンを渡していたのは郵便局のデレク。デレクは郵便為替で医者のフランク・カートライトとパメラが不倫関係であることに気付いていた。デレクはフランクを匿名で脅迫し、定期的にアンフェタミンをよこすように脅していた。

マーガレットの死でデレクが疑われていると知った父親のウォレス・クラークは息子を守るためフランクを銃で殺害。 ウォレスは殺害を目撃したモンクフォード牧師も殺害する。暗号解読者だったモンクフォードはモースに犯人の名前「WCLARK」を元素の周期表を使ったダイイングメッセージを残していた。

事件は解決し、パメラは引き離されていた息子のボビーとやり直すためバスで出発するのだった。

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Case1「ある晴れた日に」前回のあらすじと感想はこちら≫

Case2「泥棒かささぎ」の感想

今回も人間関係が複雑で入り組んでいましたね。 主な事件関係者を整理してみました。
  • マーガレット・ベル
    心臓発作で死亡。
  • サー・エドマンド
    核兵器開発に尽力した原子物理学者。
  • デニス・ブラッドリー
    サー・エドマンドの自伝を手伝う学生。マーガレットの恋人。
  • パメラ・ウォルターズ
    サー・エドマンドの娘。てんかんの発作がある。
  • ヘレン・カートライト
    サー・エドマンドの娘で、パメラの姉。
  • フランク・カートライト
    ヘレンの夫で、医者。
  • ビル・プレンティス
    マーガレットの主治医で、フランクとは仕事のパートナー。
  • モンクフォード牧師
    フランク殺害を目撃。
  • デレク・クラーク
    郵便局で働き、マーガレットにクスリを渡していた。
  • ウォレス・クラーク
    デレクの父親。

最初に心臓発作で死んだマーガレットは殺されたのではなく、フランク・カートライト殺人事件が起こるきっかけでした。マーガレットが飲んでいた心臓の薬はジゴキシン。植物のジギタリスから抽出されるそうで、毒性が。別名はデッドリー・ナイトシェイド。ナイトシェイドとはナスやトマトなどナス科の植物のことだそう。

ジギタリス - Wikipedia

ジギタリスの葉を温風乾燥したものを原料として ジギトキシン、 ジゴキシン、 ラナトシドCなどの 強心配糖体を抽出していたが、今日では化学的に合成される。 古代から切り傷や打ち身に対して薬として使われていた。 1776年、英国の ウィリアム・ウィザリングが 強心剤としての薬効を発表して以来、 鬱血性心不全の特効薬としても使用されている。以前は 日本薬局方に Digitalis purpurea を基原とする生薬が「ジギタリス」「ジギタリス末」として医薬品各条に収載されていたが、第14改正日本薬局方第二追補(2005年1月)でともに削除された。

「人殺し」と書かれた脅迫状は核兵器開発に協力した原子物理学者サー・エドマンドに対する抗議で、なんと差出人はマーガレットの恋人で学生のデニス。 「一人殺したって、一生監禁される。でも、30万人を殺せば、ナイトの称号がもらえる」と矛盾を指摘するのでした。「人殺し」とタイプされた意味深な手紙は殺人事件とは関係ありませんでした。

泥棒かささぎと呼ばれるパメラ

泥棒かささぎ(ラ・ガッツァ・ラドラ)と呼ばれるパメラ。事件以前にもモースとすれ違い印象を残していたはかなげな女の子。英題は「Girl」となっています。 泥棒かささぎはロッシーニのオペラのタイトル。

泥棒かささぎ - Wikipedia

『 泥棒かささぎ』(どろぼうかささぎ、 伊: La gazza ladra)は、 ロッシーニが 1817年に ミラノ・スカラ座向けに彼としては3ヶ月という異例の期間を設けて作曲した オペラ・セミセリア。 台本は、 T.B.ドービニー及び ルイ・シャルル・ケーニエ合作の悲劇「La Pie voleuse」を基に ジョヴァンニ・ゲラルティーニが執筆した。演奏時間は約3時間半( 序曲 9分、第1幕1時間40分、第2幕1時間40分)

モースの目の前でも万引きをするパメラ。そんなパメラにはでんかん発作の病気が。 病気のせいで家族と引き離されて、施設に入れられてしまうというのが残酷。 モースがパメラに読み聞かせていた詩は19世紀のイギリスの詩人アルフレッド・テニスンの「シャーロット姫」だそう。

息子ボビーと引き離されているパメラには同情してしまいますが、まさか姉の夫フランク・カートライトと不倫関係になっていたなんて!  しかも、ボビーはフランクとの子ども。 そして、今回の事件ではその関係が知られて脅されていたフランクが殺されることに。

自転車の持ち主は左利きの聖職者

郵便局のウォレスが犯人とは意外でした。てっきり、マーガレットの主治医だったドクター・プレンティスが犯人かと…。 息子のデレクがアンフェタミンの取引で逮捕されてしまうと思ったウォレスはアンフェタミンの引き渡しをしていた公衆トイレでフランクを殺害。

モンクフォード牧師がその現場を目撃。目撃しても警察に追放できなかったのは、ゲイだったから。 犯罪現場の公衆トイレは男漁りの場所になっていました。イギリスでは1967年まで男性同士の同性愛は違法だったそう。このエピソードの舞台は1965年だそうなので、まだ違法だったようですね。 さらに聖職者という立場もあってモンクフォード牧師は警察に通報することをためらったようです。

それにしても、昔 絆創膏はテープ状だったのでしょうか?

放置されていた自転車から乗っていたのは左利きの聖職者だったと推理するモースは鋭い!  ですが、新しく来たブライト警視正には大不評。 推理は鋭いモースでしたが世渡りは下手なようで、サーズデイ警部補もお説教。 ストレンジ巡査にも協調性が大事だと言われてしまいました。

昇進試験の勉強を一緒にしているストレンジ巡査。出会いはあまり良くなかったですが、すっかり仲良くなったみたいですね。 今はモースのほうが階級が上ですが、『主任警部モース』ではストレンジがモースの上司になっているそうですよ。

サーズデイ警部補の補佐をするのは本来なら巡査部長。モースは刑事巡査ということで昇進目指して勉強しているようです。

イギリスの警察の階級

  • 警視監(警察本部長)Chief Constable
  • 警視監補(副本部長)Deputy Chief Constable
  • 警視長 Assistant Chief Constable
  • 警視正 Chief Superintendent
    ブライト
  • 警視 Detective Superintendent
  • 警部 Detective Chief Inspector
  • 警部補 Detective Inspector
    サーズデイ
  • 巡査部長 Detective Sergeant
    ジェイクス
  • 刑事巡査 Detective Constable
    モース
  • 巡査 Police Constable
    ストレンジ
                  

だいたいのイギリスの警察階級はこんな感じ。

暗号を解読するモース

関係ないと思われていたガス代の集金詐欺も殺人事件を解く手がかりに。同性愛者のモンクフォード牧師はカモにされてレアなコインを盗まれてしまい、そのコインが集金詐欺の男に支払われていました。 集金詐欺の男はストレンジが捕まえて大手柄! 一方、モースは誤認逮捕してしまう大失敗…。

モンクフォード牧師は元暗号解読者でモースにもクイズを提示。 「お腹を満たして、家への道を示す利口なもの」答えはパンくず(Breadcrumbs)。 事件の手がかりのパンくずは賛美歌の番号でした。

ストレンジの言葉で賛美歌の番号の意味に気付いたモース。 英語では element エレメント (元素)という単語で元素の周期表を思いつき、暗号を見事に解読!

  • 74 タングステン
    ドイツ語でウルフラマイト W
  • 17 クロリン(塩素) Cl
  • 18 アルゴン Ar
  • 19 ポタシウム
    ラテン語でカリウム K

「WCLARK」。Wallace Clark(ウォレス・クラーク)の名前がモンクフォード牧師がのこしたメッセージでした。 モースが暗号を解けてよかったですね。

牧師殺害のアリバイ作りのためにデレクとウォレス親子は多発している郵便局強盗に襲われたように偽装。強盗を自作自演して指まで切断するなんて、常軌を逸している…。

事件は無事に解決。モースはパメラの息子がアメリカに連れ去られないように法律の条項を読み上げるのでした。 これは昇進試験の勉強の成果のようですね。

「タブララサ」が信条のブライト警視正には嫌われてしまったモース。 「タブララサ」はラテン語で白紙の状態という意味。

パメラは息子のボビーを取り戻して再出発。 雨も止んだようで、再出発はうまくいきそうですね。

今回、原作者のコリン・デクスターはモースとサー・エドマンドが一緒に食事をしている42分ごろにカメオ出演しています。

色々な事件や出来事が謎解きのときに一気につながって解決するのが気持ちいい!  まわりとうまくやることが苦手なモースがちょっぴり心配ですが、次回はどんな鋭い推理をして事件を解決するのか楽しみですね。

Case2「泥棒かささぎ」で流れた曲

  • Great Mass No. 18 in C Minor K427 Kyrie - モーツァルト 歌 Sarah-Jane Brandon
  • Hab’mir’s gelobt - リヒャルト・シュトラウスのオペラ『ばらの騎士』より

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』の登場人物・キャストについてはこちらへ>>

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